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このページは声優・矢島正明とその弟子 である私・ぺちゃという、感性と嗜好の非常に似通っている二人の、主観的かつ独断的なおしゃべりを文章に起こし たものであって、間違っても映画評論などという高尚なモノ を書いてるつもりは毛頭ございません。どうぞご了承下さい。 | |||||||
「白いカラス」原題:The Human Stain/2003 |
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監督 | ロバート・ベントン | 脚本 | |||||
出演 | ニコール・キッドマン/アンソニー・ホプキンス/エド・ ハリス/ゲイリー・シニー | ||||||
あらすじ & 詳細 |
1998 年、アメリカ・マサチューセッツ州。同地の名門アテナ大学の学部長をつとめるコールマン・シルク(アンソニー・ホプキンス)は、ユダヤ人として初
めて、古典教授の地位にのぼりつめた権威ある学者であった。が、勇退を目前に、彼の栄光に包まれた人生が一瞬にして崩壊する。 講義中に発した「スプーク」のひとこと。これが黒人学生に対する差別発言だと非難されたコールマンは、教授会で弾劾され、辞職に追い込まれてしまったの だ。しかもその知らせにショックを受けた妻は、心労からあっけなくこの世を去ってしまった。 半年後、いまだに怒りのおさまらないコールマンは、湖畔で隠遁生活を送る作家のネイサン・ザッカーマン(ゲイリー・シニーズ)を訪ね、職と妻を失った 経緯を本にしてくれと依頼する。コールマンの勢いに圧倒されながらも、「自分で書いたらどうです?」と応じるネイサン。しかし、2人の間には不思議な友情 が芽生えていく。自らも失意の人生を送っていたネイサンは、コールマンとの交友を通じて「書けない」隠遁生活から抜け出し、励ましを受けたコールマンも、 怒りを執筆により発散させることで徐々に生活のペースを取り戻していく。 コールマンがネイサンに「恋人がいる」と打ち明けたのは、2人が出会ってから1年が経過した頃のことだった。恋人の名は、フォーニア・ファーリー(ニ コー ル・キッドマン)。義父の虐待、ベトナム帰還兵の夫レスター(エド・ハリス)の暴力、そして子供の死という悲惨な過去を背負った彼女は、復讐に燃えるレス ターから逃げ隠れしながら、清掃の仕事をして生計を立てているまだ若い女性であった。住む世界が違いすぎる彼女との交際を、「危険だ」と忠告するネイサ ン。しかし、もはやフォーニアなしでは生きられなくなっていたコールマンは、強い口調でネイサンに反論する。「これは私の初恋でもないし、最高の恋でもな い。でも、最後の恋なんだ」と。 |
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矢島 | 原題の 「ヒューマン・ステイン」って、どういう意味かな? | ||||||
ペチャ | 文字通りだと、「人間の傷」とか「人間の汚点」と言うこ とになると思いますが。 | ||||||
矢島 | それなら、邦題の「白いカラス」の方がいいね。まさしく、白いカラスの話なんだから。 | ||||||
ペチャ | そうで すね。でも、第三者である作家のネイサン(ゲイ リー・シニーズ)、が友人のコールマン(アンソニー・ホプキンス)とフォーニア(ニコー ル・キッドマン)の恋を語る形になっていましたが、あの役は必要なかったのでは? | ||||||
矢島 | 僕も、そう思う。二人と観客との間に語り手が入ってしまったために、直接観客の胸に訴える物が無くなってしまった。 | ||||||
ペチャ | それ と、コールマンが若かりし頃の過去と老いてからの現在が交互に入れ替わる構成ですが、入れ替わるタイミングが良くないですね。何の必然性も泣く交互に入れ替わるので、全体の話の流れがギクシャクしてし
まったという気がします。 |
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矢島 | それも、同感。 構成が滅茶苦茶だよね。加えて、シーン毎の作り方が非常にプロトタイプな感じがした。 | ||||||
ペチャ | プロトタイプと言いますと? | ||||||
矢島 | 例えば、コー ルマン(アンソニー・ホプキンス)とネイサン(ゲイリー・シニーズ)がダンスをするシーン。いかにも「ほーら、こうして、 二人の間に友情が芽生えましたよ。」という説明的な感じのシーンだよね。コールマンが、ベッドで女に踊らせるシーンなんかも同じだけどね。 | ||||||
ペチャ | ああ、 解る気がします。確かに、何だか取って付けた場面な感じがしました。 あと、コールマン(アンソニー・ホプキンス)が事故の前に、フォーニア(ニコー ル・キッドマン)に自分の人種を打ち明けたかどうかがこの映画のポイントのように扱われていましたが、これは、それほど大きな問題ではないのではないで しょうか? フォーニアと、コールマンの夫人や過 去の恋人達とは、価値観もコールマンに期待するものも全く別なのだから、フォーニアにはコールマンの人種など、さほど重要なことではなかったと思うし、コールマン自身そんなことは十分わかっていたと思うんです。 ラストで、作家のネイサンがフォーニアの夫レスター(エ ド・ハリス)に会うために湖に行きますが、なんのために行くのか、それも良く解りません。 |
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矢島 | 全く同感。監督のロ
バート・ベントンという人は、過去に『クレイマー、クレイマー』(79)で、アカデ ミー賞の監督賞・脚色賞の2部門と、アメリカ監督組合賞、アメリカ脚本家組合賞を受賞しているみた
いだけど、この「白いカラス」を観る限りでは、あまり演出力のある人とは思えないなー。 でも、音楽は「めぐりあう時間たち」みたいで、なかなかよかったよ。 |
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ペチャ | それもそのはず。『白いカラス』のオリジナル・サウンドトラックは、『エマ』でアカデミー賞を受賞し、『サイダーハウス・ルール』 (99)『ショコラ』(00)でも同賞にノミネートされたレイチェル・ポートマン(Rachel
Portman)によるものです。 もっとも、『サイダーハウス・ルール』は、映画そのものも素晴らしかったですけどね。 と言うわけで、人種差別、度を越した言葉狩り、家庭内暴力、幼児虐待など、問題を詰め込み過ぎて、結局焦点がぼやけてしまった感がいなめない映画でした。 |
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