まず吹き替えのことで言えば、なんといっても向こうの役者の演技のリズムに、しっかりとこちらがのれたぞと確信したとき。
それは非常な醍醐味ですよね。
それからもう一つは、向こうの役者に触発されて、
自分が思ってもみなかった自分の中の可能性を、その役者によって引き出されてしまう。
そういう瞬間っていうのがありますよね。
それは、
「あ、僕の中にこんなものがあったんだ!」
という喜び。
これが吹き替えの魅力といえるかもしれませんね。
ナレーションに関して言えば、自分の思うような声がしっかり出せて・・・。
つまり、われわれは生き物ですから、自分の声がよく響いているとき。
今日はまったく響きませんけれども(笑)。
そのときにはひとつのゆとりができますから、自分がこういうふうに表現したいと思うことが、思うようにいけるわけです。
声がついてきてくれないと、自分が表現したいと思っていることの何%しかできないと思うんです。
自由自在に自分の声を操ることができる日。
それはひとつの、ナレーションの醍醐味ですね。
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