矢島とぺちゃの観劇日記 |
このページは声優・矢島正明とその弟子である私・ぺちゃという、感性と嗜好の非常に似通っている二人の、主観的かつ独断的なおしゃべりを文章に起こし
たものであって、間違っても劇評などという高尚なモノ を書いてるつもりは毛頭ございません。どうぞご了承下さい。 |
平成16年度(第59回)文化庁芸術祭協賛公演
「喪服の似合うエレクトラ」 |
場所 |
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作 |
ユージン・オニール |
翻訳 |
沼澤洽治 |
演出 |
栗山民也 |
美術 |
島 次郎 |
照明 |
勝柴次朗 |
音響 |
山本浩一 |
衣裳 |
前田文子 |
ヘアメイク |
林 裕子/スタジオAD/立志 礼 |
演出助手 |
豊田めぐみ |
舞台監督 |
三上 司 |
芸術監督 |
栗山民也 |
主催・制作 |
新国立劇場 |
演出部 |
内田宏/浅沼一彦/小松みどり/鈴木修 |
美術助手 |
長田佳代子 |
音響助手 |
松山 岳 |
プロンプ |
矢嶋美紀 |
制作助手 |
古賀はな |
大道具 |
俳優座劇場舞台美術部/森島靖明 |
小道具 |
高津映画装飾美術/鳥城浄 |
特殊小道具 |
アトリエカオス |
衣裳 |
松竹衣装/清水崇子/成田有加/佐藤方子 |
履物 |
神田屋靴店/大石雅章/牧田梓 |
舞台・照明・音響操作 |
新国立劇場技術部/シアターコミュニケーションシステムズ/レンズ |
協力 |
koco/原 剛士/松森望宏/金子わかな/山口幸恵/林紗由加/清水光砂/姜承求 |
制作 |
新国立劇場/(製作担当:井澤雅子) |
キャスト |
ラヴィニア・マノン:大竹しのぶ/オリン・マノン:堺 雅人/アダム・ブラント船長:吉田鋼太郎/エズラ・マノン:津嘉山正種/クリスティン・マノン:三田和代
/ヘイゼル・ナイルズ:西尾まり/ピーター・ナイルズ:中村啓士/舟歌の音頭取り:丸林昭夫/セス:池田直樹 |
公演日程 |
2004年11月16日(火)〜2004年12月5日(日) |
予定上演時間 |
約3時間40分(休憩2回含む) |
概要 |
「これが報いというものだ・・・・・・。」
強烈なまでの愛憎と死が、ここに結実。
アイスキュロスによるギリシャ悲劇『オレステイア』三部作の構成をモチーフにとった超大作が登場します。ユージン・オニールは、アメリカ演劇界にリアリズムを持ち込み定着させた立役者と賞される国民的人気作家。人間という存在を徹底的に解剖する彼独特の深い眼差しで、真実の姿を描き出す作品を数多く残しました。新国立劇場では2000年に上演し、絶賛された作者晩年の自伝的戯曲『夜への長い旅路』に続き、ノーベル賞受賞の原動力となった代表作『喪服の似合うエレクトラ』を取り上げます。世界各地で上演されるこの人気作品を、『夜への長い旅路』に引き続き今回も栗山民也の重厚な演出で本格上演。一族の血から逃れられない宿命を持った家族が、罪からの開放を願いながらも、神を否定する世界観を受け止め自己破滅に至る・・・・・・。そのたどる道程が、深く、壮大に描かれます。人間のあり方、その脆さを痛烈に暴き出し、その普遍的な欲望を露わにして、観る者の心に直接響かせる舞台。 |
ものがたり |
――南北戦争直後のアメリカ・ニューイングランド。従軍した父エズラと弟オリンの帰りを心待ちにするラヴィニアは、母クリスティンが船長アダムと恋仲であることを感じ取り、父への裏切りに苛立ちを隠せない。母を強く問い質し、ついに二人の関係が暴かれてしまうと、すぐにアダムと別れなければ父にも告げて破滅させると迫るのだった。告げ口を恐れたクリスティンは、アダムを焚きつけて夫を殺害する計画を企ててゆく。やがてエズラが帰還。アダムの噂を耳にしているものの、これまでの冷たい夫婦関係をあらため、何とか妻ともう一度やり直したいと願うエズラだったが、口論の末に持病の心臓発作が起こり、クリスティンの用意した毒薬によって死んでしまう・・・・・・。
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矢島 |
「喪服の似合うエレクトラ」初日の出来はどうだったかな? |
ぺちゃ |
実は、おもしろいことがあったんですよ。
噂の「新国立名物おじいさん」に遭遇しました! |
矢島 |
「新国立名物おじいさん」って? |
ぺちゃ |
いつもZ席に座っていて、首からはオペラグラスを下げている、ちょっと腰の曲がった白髪の男性で、いつも芝居が終わると、新国立の従業員に、「役者の活舌が悪い」とか、ひとしきりお芝居の批評をするのだそうです。
友人から、この話をきいていて、「へー」と思っていたんですが、「喪服の似合うエレクトラ」の一場が終わってロビーに出ると、このおじいさんらしき人が、やはり新国立の従業員に、何かひとしきり語っているのですよ。その後私が座っていたアンケートボックスの近くに来て、アンケートを書きたそうにされていたので、席を譲ると、アンケート用紙をバッと裏返して、白紙の裏面にモーレツな勢いで何か書いているんです。 |
矢島 |
何て書いてたの? |
ぺちゃ |
わたしも、すっごく興味があって、悪いとは思いながら、覗き込んじゃったんですよね。 |
矢島 |
そしたら?(笑) |
ぺちゃ |
「役者がダメ!
大竹さん、ダメ!
怒鳴るだけでは台詞は客には伝わらない!!
三田さん、色気無い!
この役には妖艶さが必要。
妖艶さが無ければ、この役はムリ。
よかったのは、大道具だけ!」
って、すごく大きな字で用紙いっぱいに書きなぐってから、 顔をあげて、私と眼が合うと、ニヤッと笑って、
アンケート用紙を回収ボックスにポンと放り込むと、
また、スタスタと階段を上って行ってしましました。 |
矢島 |
(ウーンとうなって)
「怒鳴るだけでは台詞は客には伝わらない」か。。。
いいこと言ってくれるなー!(ひたすら感激モード)
それで、ペチャ自身はどう思ったの? |
ぺちゃ |
私ごときが言うのも、不遜ということを前提に言わせていただきますが、わたしも、大竹さんに関しては、いつものように、少々どなりすぎかな?って言う感じはしました。 |
矢島 |
いつも僕が文句を言っているように、「何を演っても大竹しのぶでしかない。」ということ? |
ぺちゃ |
そうですねー。まあ、もちろん、それなりに素晴らしいのですが… |
矢島 |
クリスティン・マノン役の三田和代さんに関してはどうだった? |
ぺちゃ |
私は、三田さんに関しては、必要なことはすべてちゃんとやってらっしゃって、色気が無いという風には感じなかったのですが。。。これも、私が批評するのは、あまりに不遜ですが・・・
もしかしたら、そのおじいさんが言う妖艶さというのは、大地喜和子さんとか、波野久里子さんみたいに、肉感的な感じが欲しかったのかも知れませんね。
三田さんはホントに痩せぎすな方ですから。 |
矢島 |
あー、なるほど。それならわかるね。 |
ぺちゃ |
で、この話にはオチがあって、
2場が終わった後、ロビーに出ると、またそのおじいさんがアンケートを書いてるんです。
それで、また側に行ってのぞいて見ると、
「芝居が長すぎる!
長丁場を持たせるだけの力が、役者に無い。
ダラダラやるのなら、やらない方がいい。
大竹さんは怒鳴るばかりで、台詞の意味が全然解かっていない!」
って書いてらっしゃって、笑ってしましました。
その後3場が終わった後、階段ですれ違ったときに、ニコッとおじぎしたら、あちらもニコッと笑ってくださいました。
よっぽど話し掛けようと思ったのですが、なんか、只者じゃないという感じがして、話し掛ける勇気がでませんでした。(笑) |
矢島 |
それは、たしかに興味が湧くね。 |
ぺちゃ |
これをご覧の皆さんの中でも、「あ!その人知ってる!」っていう方がいるかも知れませんね。 |
矢島 |
しかし、大竹さんも、ホントに忙しい中で、次々とお芝居に出るね。これだけ出て、よく台詞が覚えられるなーと、それは本当に感心するよ。 |
ぺちゃ |
実は、大竹さんの背中に、ドレスの襟首からカツラの中にコードが這っていたんですよ。もしかしたらプロンプかなーと思って、大竹さんの耳の穴ばっかり、ジーっとのぞいていたんですけど、イヤホンらしきものは入ってませんでした。 |
矢島 |
耳の上に付けるマイクのコードじゃないの? |
ぺちゃ |
でも、他の出演者には無かったんですよ。 大竹さんだけで。
あれって、なんだったんだろう?いまだに不思議です。。。。 |